工場ユーティリティコスト原単位ガイド

工場の電力、水、排水、蒸気、圧縮空気、冷却まわりの使用量や費用を、生産量あたりで整理するためのガイドです。 同じ「円/個」や「使用量/個」でも、対象期間、対象ライン、分母にする生産量、費用に含める範囲がずれると比較できません。 このページでは、各計算ページに入る前にそろえる前提と、どのページから確認するかを整理します。

ここで扱う内容は、現場の一次整理用です。料金メニューの最適化、外部報告、法令適合、設備投資、会計上の原価確定、契約判断には使えません。 最終判断では、社内基準、契約条件、測定範囲、現場条件、必要な専門確認を別途確認してください。

最初に分母をそろえる

ユーティリティ原単位では、分母に何を置くかで意味が変わります。 個数、kg、t、m2、バッチ数、稼働時間のどれを使うかを先に決め、比較する全期間で同じ定義にそろえてください。 生産量が同じでも、良品数、総生産数、充填量、出荷量では値が変わります。

  • 期間: 日、週、月、ロットなどを混ぜない。
  • 範囲: ライン、建屋、設備、共通ユーティリティの含め方を固定する。
  • 分母: 良品数、総生産数、重量、稼働時間などの定義を明記する。
  • 費用: 電力量料金、水道・工水、排水処理、薬剤、燃料、保全費など、含める費目を分ける。

どのページを使うか

手元データ 最初に確認する問い まず見るページ あわせて見るページ
電力、水、蒸気、圧縮空気、冷却、保全費を横並びにしたい どのコストから確認するかを同じ期間・同じ分母で整理したいか ユーティリティコスト削減優先順位 設備コスト強度の見方電力原単位
使用電力量 kWh、生産量、電力単価 同じ期間・同じ範囲で kWh/個 と円/個を見たいか 電力原単位 設備電気代計算冷却システム年間電気代計算
水量 m3、生産量、必要なら排水濃度 水使用量を L/個 や m3/1000個で見たいか 水使用量原単位 排水負荷量の見方排水負荷量
濃度 mg/L、流量 m3/day、比較条件 濃度だけでなく kg/day や条件差を見たいか 排水負荷量の見方 排水負荷量比較水使用量原単位
平均入力電力、空気量、電力単価 圧縮空気を Nm3 あたりの電気代で見たいか 圧縮空気単価計算 電力原単位設備電気代計算
蒸気発生量、燃料費、ボイラー効率 蒸気 kg あたりの燃料費ベース単価をそろえたいか 蒸気単価計算 蒸気コストの見方電力・エネルギー原単位保全費/稼働時間
冷却塔ファン、ポンプ、補給水、薬剤 冷却まわりの電気代・水・薬剤費を分けて見たいか 冷却塔年間運転費計算 冷却システム年間電気代冷却塔補給水量
保全費、稼働時間、生産量 ユーティリティ費用ではなく、保全費を時間や個数でならしたいか 保全費/稼働時間 OEE設備ロス分析

安全に比較する手順

  1. 比較する期間を決め、ユーティリティ使用量、費用、生産量を同じ期間にそろえる。
  2. 対象範囲を決め、共通設備や建屋全体の値を含めるかを固定する。
  3. 生産量の分母を決め、良品数、総生産数、重量、バッチ数を混ぜない。
  4. 季節差、品種ミックス、立上げ停止、洗浄、段取り、待機、外気条件などの差をメモする。
  5. 同じ前提で計算した結果だけを横並びにし、原因判断は別途現場データと合わせて行う。

ユーティリティ別の注意点

電力量計の範囲に、製造設備だけでなく空調、照明、共通ポンプ、待機電力が入っているかを確認してください。 設備単体の電気代は 設備電気代計算、生産量あたりの見方は 電力原単位 が入口です。

水量と排水量は同じとは限りません。蒸発、製品持ち出し、洗浄、回収、雨水混入、ブローで差が出ます。 水量を生産量で見る場合は 水使用量原単位、濃度と流量から負荷量を見る場合は 排水負荷量 を使います。

圧縮空気は標準空気量の基準、蒸気は燃料発熱量、ボイラー効率、給水・ドレン条件で単価が変わります。 圧縮空気は 圧縮空気単価計算、蒸気は 蒸気単価計算蒸気ユーティリティコストの見方 で、まず同じ単価基準にそろえてください。

冷却は、冷凍機本体、冷水ポンプ、冷却水ポンプ、冷却塔ファン、補給水、ブロー、薬剤を分けて見ると漏れが少なくなります。 電気代中心なら 冷却システム年間電気代、水・薬剤まで含める場合は 冷却塔年間運転費計算 を使います。 どこまでを冷却費として見るかは 冷却・チラーユーティリティコストの見方 で先に分けてください。

短い確認例

ある月の生産量が10,000個、使用電力量が5,200 kWh、電力単価が22円/kWh、水量が125 m3、冷却塔の補給水費が別管理になっているとします。 電力は 電力原単位 で0.520 kWh/個、11.44 円/個として見ます。 水は 水使用量原単位 で0.0125 m3/個、12.5 L/個として見ます。 冷却塔の水・薬剤費を同じ円/個にしたい場合は、まず 冷却塔年間運転費計算 で費目を分け、同じ月・同じ分母で割れるかを確認します。

目的別の関連ページ

FAQ

ユーティリティコスト原単位は製品原価として使えますか。
そのまま製品原価には使えません。このページでは、入力したユーティリティ使用量や費用を生産量でならす一次整理を扱います。材料費、労務費、共通費、会計上の配賦条件は別に確認してください。
電力、水、蒸気、圧縮空気を全部まとめて円/個にしてよいですか。
最終的に合算する前に、費目ごとの期間、範囲、分母、単価の前提をそろえてください。混在している場合は、まず費目別に計算してから同じ分母に変換する方が安全です。
ライン間で原単位を比較するときの注意点は何ですか。
製品ミックス、稼働率、共通設備の割り付け、洗浄や立上げ停止、測定点の範囲をそろえてください。値の差だけで原因を断定しないでください。
水使用量と排水負荷量はどちらを先に見ますか。
水の使い方を生産量あたりで見るなら水使用量原単位、濃度と流量からkg/dayを見たいなら排水負荷量が入口です。目的が混ざる場合は排水負荷量の見方ガイドで前提を分けてください。
広告や外部の料金設定をこのページから変更しますか。
変更しません。このページは計算ページの選び方と前提整理だけを扱い、広告設定、計測設定、外部サービス設定には触れません。