COOLING TOWER WATER BALANCE

冷却塔 補給水量・蒸発量計算

冷却塔の熱負荷、または循環水量と冷却塔出入口温度差から、蒸発量、ブロー量、飛散・その他損失、補給水量を概算します。 濃縮倍率を使った補給水量の目安確認や、冷却水設備の水使用量の一次確認に使えます。 まず熱負荷または循環水量・温度差から蒸発量を求め、次に飛散・ブローを分け、最後に導電率でCOCの妥当性を確認する流れの入口として使えます。

このページで扱う範囲

熱負荷から蒸発量を求め、蒸発量と濃縮倍率からブロー量を概算します。 循環水量と温度差が分かっている場合は、まず熱負荷を求めてから同じ手順で補給水量を計算します。 入力する循環水量、温度差、濃縮倍率、飛散損失は、できるだけ同じ運転状態・同じ期間の値でそろえてください。

結果ではブロー量、飛散損失、漏れ・オーバーフローを別々の流出として扱います。ブロー量は式から計算されるため、ブロー配管の実測値を「その他損失・漏れ」へ重ねて入力しないでください。

水質、薬注、スケール、腐食、排水基準、白煙対策、冷却塔の性能選定はこのページでは扱いません。 実設備では水処理業者や冷却塔メーカーの管理値を確認してください。

STEP 1

計算条件

熱負荷から計算するか、循環水量と温度差から計算するかを選び、水収支に共通する条件を入力してください。

計算方法

分かっている条件に合わせて選ぶと、不要な入力を避けられます。

熱負荷を入力する場合

冷却塔の放熱量または冷凍機側から求めた熱負荷を入力します。

水収支の共通条件

水の物性、濃縮倍率、その他損失はどちらの計算方法でも使います。飛散損失率は循環水量から求めるモードだけで使います。濃縮倍率は1より大きい値を入力してください。

COC=1では B = E / (COC - 1) の分母が0になり、ブロー量を計算できません。補給水と循環水の導電率などから、実際の濃縮状態を確認して1より大きい値を入力してください。

循環水量に対する %

循環水量と温度差から計算するモードだけで使います。熱負荷直接入力モードでは循環水量がないため0扱いです。冷却塔形式やエリミネータ性能で変わるため、メーカー資料がある場合はその値を優先してください。

使用式

熱負荷が分かっている場合:

E = Q_dot / h_fg

循環水量と温度差から熱負荷を求める場合:

Q_dot = V_dot × ρ × Cp × ΔT

ブロー量と補給水量:

B = E / (COC - 1)

M = E + B + D + L

COC=1では COC - 1 が0になるため、上式からブロー量は求められません。これは補給水と循環水に濃縮差がない前提となり、濃縮倍率を使ったこの概算の対象外であることを示します。

B、D、L は互いに別の流出として扱います。B は式から計算されるため、ブロー配管で測った同じ流量を L にも入れないでください。

  • E: 蒸発量
  • B: ブロー量
  • D: 飛散損失
  • L: その他損失・漏れ
  • M: 補給水量
  • COC: 濃縮倍率

注意書き

  • このページは水を対象にした概算です。海水、薬液、スラリー、特殊な熱媒体は別途確認してください。
  • 蒸発潜熱は水温や圧力で変わります。初期値2450 kJ/kgは冷却塔まわりの概算目安です。E = Q_dot / h_fg は熱負荷をすべて蒸発潜熱で処理するとみなす簡易推算で、空気への顕熱移動や気象条件を個別には扱いません。
  • ブロー量は、飛散や漏れを無視した基本式 B = E / (COC - 1) で概算しています。COC=1では分母が0になり、1に近いほど計算ブロー量が急増するため、実運転値・導電率制御と照合してください。
  • 濃縮倍率は水質、シリカ、硬度、薬注、排水基準、腐食・スケールリスクで制限されます。補給水量の節水額だけで設定せず、導電率と水質分析値を確認してください。
  • 計算補給水量と水道メーター・工水メーターの実測が大きくずれる場合は、ブロー弁、オーバーフロー、漏れ、ドレン排水、飛散損失の扱いを分けて確認してください。
  • 実設備では冷却塔メーカー資料、水処理業者の管理値、導電率管理、漏れ・オーバーフローの有無を確認してください。

FAQ

冷却塔の補給水量には何が含まれますか?

このページでは、蒸発量、ブロー量、飛散損失、その他損失・漏れを足し合わせたものを補給水量として扱います。

濃縮倍率とは何ですか?

補給水に含まれる溶解成分が、循環水側で何倍に濃縮されているかを表す目安です。濃縮倍率を高くするとブロー量は減りますが、スケールや腐食のリスク確認が必要です。補給水と循環水の導電率を同じ時点・同じ管理条件で比較し、水質分析値や管理基準と合わせて確認してください。

COC=1でエラーになるのはなぜですか?

このページではブロー量を B = E / (COC - 1) で概算するため、COC=1では分母が0になり計算できません。補給水と循環水に濃縮差がない状態を表すため、濃縮倍率を使った水収支の前提に合いません。導電率や実測の水量収支から、運転状態を確認してください。

飛散損失はブロー量に含めますか?

このページでは、ブロー量は蒸発量と濃縮倍率から求め、飛散損失は補給水量に別途加算します。ただし飛散損失率を使うのは循環水量と温度差から計算するモードだけで、熱負荷直接入力モードでは0扱いです。飛散が大きい設備では、水処理管理上の扱いを別途確認してください。

蒸発量の簡易推算は実測と一致しますか?

必ずしも一致しません。熱負荷を蒸発潜熱だけで処理するとみなすため、空気への顕熱移動、外気の温湿度、風、冷却塔形式などの影響は含みません。まず概算に使い、同じ期間の補給水計・ブロー流量・水位変動と照合してください。

補給水とブローを二重計上しないためにはどうしますか?

補給水量は結果側の合計であり、入力する損失ではありません。このページではブロー量も式から求めるため、ブロー配管の実測値を「その他損失・漏れ」へ加えません。飛散は飛散損失、ブロー以外の漏れ・オーバーフローだけをその他損失へ分けます。

冷凍機の冷凍能力から使えますか?

冷凍能力や冷却塔の放熱量が分かっている場合は、熱負荷として入力できます。冷凍能力の単位換算や冷凍機COPの確認は関連ページも使ってください。

濃縮倍率は何倍にすればよいですか?

水質や薬注条件で変わるため、このページでは推奨値を断定しません。実設備では補給水・循環水の水質、排水基準、メーカー資料、水処理業者の管理基準を確認してください。

補給水量が増えているときは何から確認しますか?

まず蒸発量、ブロー量、飛散損失、漏れ・排水のどれが増えているかを分けて見ます。次に補給水と循環水の導電率から濃縮倍率の変化を確認し、同じ期間の水量計実測と計算値を比べます。濃縮倍率が低い場合はブロー過多、循環水量やレンジが変わった場合は熱負荷側の変化も疑います。これにより、COC管理の問題か、漏れ・オーバーフローなど設備側の問題かを切り分けやすくなります。