品質コスト・不良コストの見方

品質コストや不良コストを整理するときは、最初に「数量ロス」「金額影響」「分類別の偏り」「工程歩留まり」「観測不良率」「欠陥機会を含むDPMO」を分けると、次に使うページを選びやすくなります。 スクラップ・手直し、不良カテゴリパレート、DPMO・シグマ水準、歩留まり・RTY、不良ppm、不良率信頼区間、不良率サンプル数の考え方は近いテーマですが、入力データと読み取れることが違います。

このページは、品質コストまわりの一次整理とページ選択のためのサポート記事です。 出荷可否、顧客承認、監査、品質合否、保証、法務、正式な会計処理の判断には使いません。

まず問いを分ける

不良に関するデータは、件数、率、金額、カテゴリ、工程通過率、欠陥機会数のどれを見たいかで入口が変わります。 たとえば同じ「不良が増えた」という状況でも、影響額を見たいのか、分類の偏りを見たいのか、観測ppmを見たいのかで、先に開くページは変わります。

手元にあるデータ 最初に確認すること まず見るページ 読み取りの注意
対象数、スクラップ数、手直し数、単価 件数と単価から粗い影響額を見る スクラップ・手直しコスト計算ツール 追加検査、滞留、納期影響、原因調査、会計処理は含めません。
不良カテゴリ名、カテゴリ別件数 どの分類が多いか、累積比率で見る 不良カテゴリパレート計算ツール 分類ルールと集計期間が変わると、並び順や80%到達行も変わります。
ユニット数、欠陥機会数、欠陥数 欠陥機会を含めたDPO、DPMO、シグマ水準の参考値を見る DPMO・シグマ水準計算ツール 不良品数ではなく、欠陥数(不適合件数)として管理している値かを確認してください。
投入数、初回良品数、手直し後良品数、工程別歩留まり 直行率、最終歩留まり、RTYを分ける 歩留まり・RTY計算ツール 手直しで戻した数量と工程別歩留まり%は、同じ母数とは限りません。
検査数、不良数 観測した不良率をppmで表す 不良ppm計算ツール Cp/CpkやPpkから推定するppmとは前提が違います。
検査数、不良数、信頼水準 観測不良率の不確かさをWilson区間で見る 不良率信頼区間計算ツール 0件不良や少数サンプルでは、上限側の広がりも確認してください。
想定不良率、目標幅、信頼水準 検査前に不良率を見るためのサンプル数の桁感を整理する 不良率サンプル数の考え方 AQL、ロット受入、出荷可否、監査適合の判定とは分けて扱います。
停止時間、時間単価、品質ロスとの関係 設備停止側の金額影響と品質側の件数影響を分ける 停止時間損失計算ツール 品質コストと停止損失を足す前に、同じ期間・ライン・通貨単位か確認してください。

品質コストを一つの数字にしすぎない

品質コストを一つの金額だけで見ようとすると、発生率、影響額、分類の偏り、工程流出のどこに問題があるかが見えにくくなります。 まずは次のように分けると、改善前の会話がしやすくなります。

  • 金額影響: スクラップ数、手直し数、単価を使い、粗い影響額を確認します。
  • 分類の偏り: 不良カテゴリ別の件数を並べ、多い分類と累積比率を確認します。
  • 工程内の通過率: 初回良品、手直し後良品、工程別歩留まりから直行率とRTYを確認します。
  • 観測不良率: 検査数と不良数からppmを確認し、少数サンプルでは信頼区間も見ます。
  • 欠陥機会込みの水準: 1ユニット内に複数の欠陥機会がある場合はDPMOを確認します。

つながった確認例

対象数10,000、スクラップ数120、手直し数80、スクラップ単価1,800、手直し単価650の場合、スクラップ・手直しの粗い影響額は268,000(入力した通貨単位)です。 この値は現場確認の入口であり、追加検査や滞留、返品、保証費、正式な会計処理までは含めません。

同じ期間で不良カテゴリが「外観傷120、寸法外れ55、組付け不良25」なら、不良カテゴリパレートで構成比と累積比率を確認します。 金額影響が大きい分類と件数が多い分類は一致しないことがあるため、カテゴリ件数と単価影響を分けて見ます。

検査数50,000、不良数7なら観測不良ppmは140 ppmです。 95% Wilson区間は約67.8 ~ 289.0 ppmとなり、観測値だけでは見えにくい上限側の広がりを確認できます。

1,000ユニット、1ユニットあたり10の欠陥機会、欠陥数35で見る場合、DPMOは3,500です。 このとき入力する35は欠陥数(不適合件数)であり、不良品数として管理している値と混ぜないでください。

投入数1,000、初回良品数930、手直し後良品数40、最終ロス数30では、直行率は93.00 %、最終歩留まりは97.00 %です。 工程別歩留まり98 %、96 %、99.5 %から見るRTYは93.61 %で、数量から見た最終歩留まりとは意味が違います。

指標をつなぐときの確認順

  1. 品質計算の使い分けで、工程能力、観測不良、歩留まり、管理限界のどれを見るか分けます。
  2. 品質データの選び方で、規格、標準偏差、不良数、投入数、欠陥機会数を混ぜないように確認します。
  3. 金額影響が知りたい場合は、スクラップ・手直しコスト計算ツールへ進みます。
  4. 分類別の偏りが知りたい場合は、不良カテゴリパレート計算ツールへ進みます。
  5. 不良率やDPMOを見たい場合は、不良ppm不良率信頼区間不良率サンプル数DPMO・シグマ水準を分けて確認します。

混ぜると読み違えやすいもの

  • スクラップ数と手直し数を重複して数えないでください。
  • 不良品数と欠陥数(不適合件数)を混ぜないでください。
  • 検査数に対する不良ppmと、欠陥機会に対するDPMOを同じ母数で扱わないでください。
  • 工程別歩留まり%と、数量から見た最終歩留まりを同じ意味として扱わないでください。
  • 単価ルール、通貨単位、対象期間、対象ライン、対象品目をそろえずに金額を合算しないでください。
  • 正式な会計、保証、法務、顧客対応の費用は、このページ群の簡易計算だけで確定しないでください。

FAQ

不良コストを見るなら、まずどのページを使いますか。
件数と単価がある場合は、スクラップ・手直しコスト計算ツールから見ると影響額を把握しやすくなります。分類別の偏りを見たい場合は、不良カテゴリパレートを先に確認します。
不良ppmとDPMOは同じですか。
同じではありません。不良ppmは検査数に対する不良数、DPMOはユニット数と欠陥機会数を含めた欠陥数(不適合件数)から見る指標です。
歩留まりとスクラップ率は同じですか。
同じではありません。歩留まりは工程を通って良品として残る割合を見ます。スクラップ率は対象数に対して廃棄・ロスになった件数の割合です。
品質コストの合計額をこのページ群だけで確定できますか。
確定できません。ここでは現場確認用に入力値から粗い影響額を整理します。正式な会計処理、保証費、返品費、法務、顧客対応費は別に確認してください。
同じ不良カテゴリでも、件数と金額の優先順位が違うことはありますか。
あります。件数が多いカテゴリと、単価や手直し工数が大きいカテゴリは一致しないことがあります。カテゴリ別件数と単価影響を分けて見ると、会話の前提をそろえやすくなります。
ライン間や期間間で比べる前に何をそろえますか。
対象期間、製品、ライン、欠陥定義、単価ルール、通貨単位、検査方法、集計除外条件をそろえてください。

使う前の注意点

  • このページは、品質コストまわりの指標と計算ページを選ぶための一次整理です。
  • 計算結果は入力値と仮定に依存します。未入力の費用、間接費、顧客対応費、保証費、法務費用は含みません。
  • 不良品数、欠陥数(不適合件数)、検査数、欠陥機会数、投入数は分けて扱ってください。
  • 出荷可否、顧客承認、監査、品質合否、正式な会計処理、保証、法務の判断には使用しないでください。