保全指標の見方

MTBF、MTTR、可用率、OEEの可動率、停止時間損失を並べて、設備保全の記録をどう読むかを整理するページです。 故障が多いのか、復旧が長いのか、OEE上の停止が大きいのか、金額影響が大きいのかを分けて、次に確認する計算を選びます。

このページは保全指標の一次整理用です。保全周期、予備品、要員配置、設備更新、ROI、安全、品質の最終判断には使わず、故障定義、修復完了の定義、対象期間、現場記録を必ず確認してください。

このページで見る範囲

MTBF/MTTR計算ツールは、稼働時間、故障回数、修復時間から保全指標を計算します。 このページでは、その結果をOEE計算停止時間損失計算と並べたときの読み分けを扱います。 設備全体のロスの入口を見たい場合は、先に設備ロス分析の進め方も確認してください。

保全指標を混ぜないための定義表

指標 基本的な意味 見たいこと 主な注意点
MTBF 稼働時間 ÷ 故障回数 故障がどれくらいの頻度で起きているか 修復時間や損失額の大きさは表しません。
MTTR 合計修復時間 ÷ 故障回数 復旧にどれくらい時間がかかるか 修復完了をどの時点で見るかによって変わります。
可用率 MTBF ÷ (MTBF + MTTR) 故障頻度と復旧時間を同じ定義で見た稼働しやすさ OEEの可動率とは分母や停止定義が違う場合があります。
OEEの可動率 稼働時間 ÷ 計画生産時間 生産時間の中で停止ロスがどれだけあるか 計画停止、待ち、段取りを含めるかは現場定義に依存します。
停止時間損失 停止時間 × 時間あたり損失額 停止の金額影響を概算すること 損失単価の置き方で結果が大きく変わります。
段取り・切替ロス 製品や条件の切替に使う時間 突発故障ではない停止を分けること 故障回数に混ぜるかどうかを先に決めます。

読み分けパターン

見えている状態 一次解釈 次に確認すること
MTBFが短い 故障や停止イベントの頻度が高い可能性があります。 故障の数え方、対象期間、微停止の扱いをそろえます。
MTTRが長い 修復、再立ち上げ、確認、引き渡しに時間がかかっている可能性があります。 修復完了を「物理修理」「再稼働」「安定運転」「品質確認」のどこで見るかをそろえます。
OEEの可動率が低いがMTBF/MTTRは大きく悪くない 突発故障以外の停止、待ち、段取り、計画時間の定義が影響している可能性があります。 OEEの停止定義と保全記録の故障定義を比較します。
停止時間損失が大きい 頻度や復旧時間が同じでも、対象設備の損失単価が大きい可能性があります。 時間あたり損失額の前提を、売上、限界利益、人件費、外注、納期影響に分けます。
故障回数が0件 観察期間内に故障がなかったという記録です。 次回故障がないことや無限のMTBFを意味しない点を明記します。

計算例でつなげて見る

720 hの稼働中に故障6回、合計修復時間18 hだった場合、MTBFは120 h、MTTRは3 h、MTBF/MTTRから見た可用率は約97.6 %です。 同じ設備で、別の日のOEE記録が計画生産時間480 min、停止60 minなら、OEEの可動率は87.5 %になります。 さらに停止1回2 h、月4回、損失単価120,000 円/hと置くと、月間停止時間は8 h、月間損失は960,000 円、年間損失は11,520,000 円です。

この3つは同じ「設備停止」を見ていても、分母と目的が違います。 MTBF/MTTRは故障頻度と復旧時間、OEEは計画生産時間に対する停止、停止時間損失は金額影響を見るための入口として分けます。

次に見る計算を選ぶ

FAQ

MTBFは次に故障するまでの予測時間ですか。
いいえ。MTBFは観察期間の平均であり、次の故障日や故障しない期間を保証するものではありません。
可用率とOEEの可動率は同じですか。
同じとは限りません。MTBF/MTTRから見る可用率は故障と修復の定義に基づき、OEEの可動率は計画生産時間と停止定義に基づきます。
MTTRが長い場合、すぐに人員や予備品を増やす判断になりますか。
このページだけでは決めません。修復完了の定義、待ち時間、立ち上げ時間、品質確認、外注待ちなどを分けて確認します。
停止損失額が大きければ、改善効果も同額になりますか。
なりません。損失額は前提に基づく概算であり、実際の効果額やROIは稼働率、製品構成、在庫、外注、需要、実施費用を別に確認します。

このページで決めないこと

保全周期、予備品在庫、要員配置、設備更新、投資回収、品質保証、安全判断、法令・規格適合の判断は、このページの対象外です。 このページでは、現場記録の定義をそろえ、次に確認する計算ページを選ぶところまでを扱います。