不良率サンプル数の考え方

不良率や不良ppmを検査前に考えるときは、「どのくらいの幅で見たいか」「想定している不良率はどの程度か」「どの信頼水準で見るか」を先にそろえると、必要になりそうな検査数の桁感をつかみやすくなります。 このページでは、不良率を推定するためのサンプル数の考え方を、目標幅、想定不良率、信頼水準から整理します。

このページは、検査前の計画を整理するサポート記事です。AQL、抜取検査、ロット受入、出荷可否、監査適合、品質保証、合否判定を行うページではありません。

このページで決めること / 決めないこと

整理すること このページで扱う内容 扱わない内容
検査前の目安 不良率をどのくらいの幅で推定したいかを決め、検査数の桁感を確認します。 ロットの受入可否や出荷判断は扱いません。
想定不良率 過去実績や仮の不良率から、サンプル数がどの程度変わるかを見ます。 工程能力や品質保証の証明には使いません。
0件不良の読み方 0件でも「将来も不良ゼロ」とは読めないことを確認します。 AQL表、合格数、不合格数、抜取検査ルールは扱いません。

不良率サンプル数を考える4つの前提

不良率のサンプル数は、単に「何個見れば十分か」ではなく、見たい幅と前提によって大きく変わります。 最初に次の4点をそろえると、後で不良ppmや信頼区間を見るときに読み違えにくくなります。

前提 意味 実務での確認例
想定不良率 p 検査前に仮置きする不良率です。 過去実績、類似ライン、暫定目標から1%、0.5%、0.1%などを置きます。
目標幅 E 推定した不良率を、おおよそどの半幅で見たいかです。 1%前後を±0.5ポイントで見たい、0.1%前後を±0.05ポイントで見たい、などです。
信頼水準 90%、95%、99%など、推定幅を見るときの水準です。 現場の一次確認では95%を基準に置き、必要に応じて90%や99%も確認します。
母集団の範囲 対象期間、対象ライン、対象品目をどこまで含めるかです。 日別、週別、月別、ライン別、製品群別に分けて、母数を混ぜないようにします。

計画時に使う近似式

不良率を1つの割合として概算する場合、よく使われる計画用の近似式は次の形です。 ここでの計算は推定幅を見るための目安であり、規格や契約上の検査方式を置き換えるものではありません。

基本式 n0 = z^2 × p × (1 - p) / E^2
n0 有限母集団補正を入れる前の概算検査数
z 信頼水準に対応する値。90%は1.645、95%は1.960、99%は2.576を使います。
p 想定不良率。分からない場合は保守的に0.5を置く考え方もあります。
E 目標半幅。5%なら0.05、0.5%なら0.005として扱います。

対象数が有限で明確な場合は、n = n0 / (1 + (n0 - 1) / N) のような有限母集団補正を考えることがあります。 ただし、ここでは推定の幅を理解するための考え方として扱い、受入検査や出荷のためのルールとしては扱いません。

静的な計算例

目標幅を狭くすると、必要になりそうな検査数は急に増えます。 特に低い不良率を狭い幅で見たい場合、数百個では足りず、数千から一万個以上の検査が必要な桁になることがあります。

想定不良率 目標半幅 信頼水準 概算検査数 読み方
不明のため50% 5ポイント 95% 約385 不良率が分からないときの保守的な桁感です。
5% 2ポイント 95% 約457 数百個規模で粗い幅を確認する例です。
1% 0.5ポイント 95% 約1,522 低めの不良率を狭く見ると、千個以上になりやすい例です。
0.1% 0.05ポイント 95% 約15,350 低不良率を細かく見るには、大きな母数が必要になる例です。

この表は、計画段階の概算です。必要最低数、品質保証の根拠、顧客要求、監査要求、出荷判断の根拠としては使わないでください。

0件不良でも不良率ゼロとは読まない

100個見て0件不良、1,000個見て0件不良、10,000個見て0件不良では、同じ0件でも意味が違います。 0件不良は、観測したサンプル内では不良が見つからなかったという意味であり、将来も不良が発生しないことを示すものではありません。

すでに検査数と不良数がある場合は、不良率信頼区間計算ツールで、観測不良率とWilson区間の上限側を確認してください。 観測値をppmに換算したい場合は、不良ppm計算ツールに進むと、検査数と不良数からppmを確認できます。

AQL・抜取検査・ロット受入との違い

このページは、推定したい不良率の幅から検査数の桁感を整理するページです。 AQL、抜取検査、ロット受入、出荷可否、監査適合、品質保証、合否判定では、別の基準、契約、規格、検査方式、記録ルールが必要になります。

  • AQLや抜取検査の表、合格数、不合格数は扱いません。
  • ロットを受け入れるか、出荷するか、監査に適合するかは決めません。
  • このページの例は、検査前に不良率推定の幅を考えるための概算です。
  • 外部基準や顧客要求がある場合は、必ずその文書と社内手順を確認してください。

実施後に見るページ

検査計画を立てた後は、集めたデータの形に合わせて次のページを使い分けます。

FAQ

このページは不良率の計算ツールですか。
いいえ。検査前にサンプル数の考え方を整理するガイドです。実際の検査数と不良数がある場合は、不良ppm計算や不良率信頼区間計算を使ってください。
想定不良率が分からない場合はどうしますか。
保守的な計画ではp=0.5を置く考え方があります。ただし工場の実際の不良率は50%よりかなり低いことが多いため、過去実績や類似工程の値も合わせて確認してください。
0件不良なら品質に問題がないと言えますか。
言えません。0件不良は、そのサンプル内で不良が見つからなかったという意味です。上限側の不確かさは、不良率信頼区間計算で確認してください。
AQLや抜取検査の代わりに使えますか。
使えません。このページは不良率推定の幅を考えるための支援ページであり、AQL表、抜取検査ルール、ロット受入、出荷可否、監査適合、品質保証、合否判定は扱いません。

使う前の注意点

  • 対象期間、ライン、製品、検査方法、欠陥定義をそろえてください。
  • 不良品数と欠陥数(不適合件数)を混ぜないでください。
  • 低い不良率を狭い幅で見たい場合は、サンプル数が大きくなりやすいことを確認してください。
  • 計算例は推定のための概算です。顧客要求、監査要求、契約、社内基準、出荷判断は別に確認してください。