工場計算の選び方

工場実務計算ツールの品質、設備、安全環境ページから、手元データと確認したい目的に合う最初のページを選ぶためのガイドです。 規格値、停止時間、サイクルタイム、濃度、流量など、いま持っている情報から入口を決めると、違う前提の計算に入ってしまうリスクを下げられます。

このページは次に開く計算ページを選ぶ一次整理用です。品質承認、出荷可否、人員配置、設備投資、安全判断、法令適合、排水基準や許認可の判断は、別途基準・現場条件・専門家確認と合わせて行ってください。

まずこの5ルートから選ぶ

最初に、手元データがどの判断に近いかを1つだけ選びます。同じ「ppm」や「時間」でも、品質の不良ppm、濃度時間のTWA、設備停止時間では意味が違います。 迷った場合は、まず下の5ルートのうち最も近い入口を開き、そのあと詳細表で具体的なページへ進みます。

具体的なページに迷う場合は、下の詳細表で同じ種類のデータを確認してください。表は品質データ、設備効率・能力、安全環境・排水の順に並べています。

手元データ・症状 最初の問い まず見るページ 次の候補
品質データ・工程能力・管理図
品質KPI、工程能力、不良ppm、歩留まり、品質コストを月次で見たい どのKPIを同じ期間・同じ母数で分けて見るか 品質KPIレビューガイド 品質改善テーマ優先順位Cp/Cpk/Ppk比較不良ppm品質コスト
どの品質改善テーマから手を付けるか迷っている 件数、費用、工程能力、管理状態、測定信頼性を分けて見られるか 品質改善テーマ優先順位ガイド 不良カテゴリパレートスクラップ・手直しコストCp/Cpk/Ppk比較
USL、LSL、平均値、標準偏差 標準偏差の種類に合う工程能力指標はどれか 工程能力計算前の測定データ準備 Cp/CpkPpk片側工程能力
個別の測定値一覧 平均、標準偏差、階級ごとの度数を先に整理したいか 測定データ要約測定ヒストグラム 測定データ準備、時系列順で見る場合はI-MR管理図の考え方
検査数と不良数 1条件の観測不良率か、サブグループごとのp管理図限界か 不良ppm 不良率信頼区間p/np/c/u管理図の選び方p管理図品質計算の使い分け
スクラップ数、手直し数、不良分類、DPMO、歩留まり、ppm 品質コスト・不良コストをどの指標から分けるか 品質コスト・不良コストの見方 スクラップ・手直しコスト不良カテゴリパレートDPMO・シグマ水準
管理用の中心値と標準偏差 工程管理で見る幅を置きたいか 管理図の選び方I-MR管理図の考え方Xbar-S管理図の考え方p/np/c/u管理図の選び方管理限界Xbar-R管理図 品質データの選び方
品質データで迷う場合は 品質データの選び方 に戻るか、最初の5ルート から選び直してください。
設備効率・能力・保全
計画時間、停止時間、理想サイクル、生産数 停止・速度・品質ロスのどこが大きいか OEE 設備ロス分析
稼働可能時間と必要生産数 必要な生産ペースはどれくらいか タクト/サイクル 生産達成率
工程ごとのサイクルタイム どの工程が静的な制約になるか ライン能力・ボトルネック 設備計算ガイド
能力・負荷・仕掛・品種ミックスの入口 タクト、ライン能力、必要台数、負荷率、WIP、製品ミックス、達成率、バッチ能力のどれを先に見るか整理したい 能力・負荷計画の見方 生産能力不足の原因切り分けタクトタイム・サイクルタイム
設備を増やす前に能力と費用を確認したい 台数不足なのか、停止・段取り・負荷平準化で戻せる余地があるか 設備投資前の能力・費用確認 必要台数機械負荷率設備コスト強度
1つの需要・期間で負荷計画を概算確認したい タクト、ライン能力、必要台数、負荷率、WIP、製品ミックス、達成率を同じ前提で読み進めたい 生産負荷計画の概算確認 能力・負荷計画の見方
故障回数と修復時間 故障頻度と復旧時間を分けたいか 保全指標の見方 MTBF/MTTR
OEE、可用率、負荷率、MTBF/MTTR、生産達成率、保全費 週次・月次レビューでどの設備KPIを見るか整理したい 設備KPI比較の見方 OEEMTBF/MTTR機械負荷率
停止時間、保全費、電力量、圧縮空気、OEE、ロス分類 設備コスト強度、圧縮空気、蒸気コストをどの指標から見るか整理したい ユーティリティコスト削減優先順位省エネ効果検証設備コスト強度圧縮空気コストの見方蒸気コストの見方冷却コストの見方 停止時間損失保全費/稼働時間電力原単位
生産、品質、設備、電力、排水が同時にいつもと違う どの指標が、いつから、どの工程で変わったか 工程異常時の初動確認 能力不足の切り分け品質KPIレビュー省エネ効果検証
段取り回数と切替時間 段取り短縮でどれだけ時間を戻せるか 段取り替え・切替ロス 設備ロス分析
設備側で迷う場合は 能力・負荷計画の見方 または 設備効率計算の使い分け に戻ると、能力・停止・費用を分け直せます。
安全環境・換気・排水
複数のdB値 騒音レベルを単純加算せず合成したいか 安全環境計算の使い分け 騒音合成
基準騒音レベルと距離 距離が変わると騒音がどう変わるか 騒音距離減衰 騒音/TWAガイド
ppm濃度と時間区間 濃度時間積と時間加重平均を見たいか TWA 騒音/TWAガイド
mg/h、m3/h、mg/m3 希釈換気の仮定で濃度を概算できるか 希釈換気の仮定 希釈換気量
pH、試料体積、当量濃度 中和計算の仮定を強酸・強塩基として扱えるか 中和計算の仮定 pH・酸アルカリ中和計算
排水濃度と流量 kg/dayの負荷量で見るべきか 排水負荷量の見方 排水条件変更の影響確認排水負荷削減案比較排水負荷量排水負荷量比較
排水タンクの有効容積と流量 滞留時間を見る前に平均流量、ピーク流量、バッチ排水の期間をそろえたい 排水滞留時間の前提 滞留時間計算タンク置換時間
バッチ排水の量・濃度・回数 kg/回、kg/day、排出中の平均流量を概算したい バッチ排水負荷量 1回あたり排水量、排水濃度、バッチ回数、対象期間をそろえて入力する
電力・水・蒸気・圧縮空気・冷却費と生産量 ユーティリティ費用や使用量を生産量あたりで整理したいか ユーティリティコスト原単位ガイド圧縮空気コストの見方蒸気コストの見方冷却コストの見方 電力原単位水使用量原単位保全費/稼働時間
水量m3と生産数量 水使用量をL/個やm3/1000個で見たい 水使用量原単位 濃度がある場合は任意で負荷量/個も確認する
安全環境・排水で迷う場合は 安全環境計算の使い分け または 排水負荷量の見方 に戻ってください。

品質・設備・安全環境で迷う境界

OEEの品質ロスが大きい場合、OEEはロスの割合を示しますが、工程能力や観測不良ppmまでは分かりません。 次に 不良ppm不良率信頼区間Cp/Cpk、または 品質データの選び方 に進み、品質側のデータ定義を分けます。

必要数量に届かない場合は、まずタクト/サイクルとライン能力で必要ペースと静的ボトルネックを分けます。 総生産数は足りているのに良品数が不足する場合は、品質計算に進むほうが自然です。

停止時間が大きい場合、OEEと停止時間損失で時間・金額の影響を見ます。 故障が多いのか、復旧が長いのかを分けるときは、保全指標の見方とMTBF/MTTRを確認します。 OEE、可用率、負荷率、生産達成率、保全費を同じ期間で並べる場合は、設備KPI比較の見方で分母と定義をそろえます。

発生量と換気量がある場合は、希釈換気の仮定と希釈換気量を確認します。 測定濃度と時間区間がある場合は、TWAで濃度時間積を整理します。ばく露限界、局所排気設計、保護具、火災爆発リスクはこのページでは判断しません。

排水は濃度だけでは負荷量が決まりません。濃度と流量がある場合は排水負荷量、バッチ排水の量・回数から見たい場合はバッチ排水負荷量、2条件を比べる場合は排水負荷量比較に進みます。 pHや中和量の前提が混ざる場合は、中和計算の仮定で強酸・強塩基、当量濃度、弱酸・緩衝、排水負荷を分けます。 排水基準、届出、報告、処理可否の判断は別に確認してください。

つながった確認例

USL 10.5、LSL 9.5、平均値10.1、短期標準偏差0.1がある場合は、品質データの選び方で標準偏差の前提を確認してからCp/Cpkを見ます。 この条件ではCpkは1.33、推定規格外は約31.67 ppmです。長期または全体標準偏差を使う場合はPpkが候補になります。

稼働可能時間450 min、必要生産数720個、工程サイクルがCutting 0.42、Welding 0.65、Inspection 0.50 min/個なら、タクト/サイクルで必要ペースを確認し、ライン能力でWelding工程が制約かを見ます。 この例では静的ライン能力は692.3 個/日で、必要数に対して約27.7 個不足します。

計画時間480 min、停止時間60 min、故障6回、修復時間18 hがある場合は、OEEで停止ロスを見てから、保全指標の見方、MTBF/MTTR、停止時間損失へ進みます。 MTBFは120 h、MTTRは3 hとなり、停止の頻度と復旧時間を分けて読めます。

発生量1,200 mg/h、換気量500 m3/h、バックグラウンド濃度0.5 mg/m3、目標濃度5 mg/m3がある場合は、希釈換気の仮定を確認してから希釈換気量に進みます。 定常・完全混合を仮定すると推定濃度は2.9 mg/m3、必要換気量は約266.7 m3/hです。

排水で現状120 mg/L・300 m3/day、代替条件80 mg/L・250 m3/dayを比べる場合は、排水負荷量の見方を確認してから排水負荷量比較に進みます。 現状は36 kg/day、代替条件は20 kg/dayで、日負荷差は-16 kg/dayです。

FAQ

品質、設備、安全環境のどこから始めるべきか分かりません。
まず手元データの種類を見ます。規格や不良数なら品質、停止時間やサイクルタイムなら設備、dB・ppm濃度・換気量・排水濃度なら安全環境から始めると整理しやすくなります。
USL/LSLと標準偏差があります。どのページを開きますか。
最初に品質データの選び方で、短期標準偏差か長期・全体標準偏差かを確認します。その後、Cp/Cpk、Ppk、片側工程能力のどれに進むかを決めます。
計画時間、停止時間、生産数があります。どのページを開きますか。
停止・速度・品質のロスをまとめて見たい場合はOEEから始めます。必要ペースや工程ごとの能力を見たい場合は、タクト/サイクルやライン能力を確認します。
ppm濃度と時間があります。換気計算ですか、TWAですか。
濃度と時間区間がある場合はTWAが入口です。発生量mg/hと換気量m3/hから濃度を概算したい場合は希釈換気の仮定と希釈換気量を確認します。
排水濃度と流量があります。どのページを開きますか。
連続・平均条件のkg/dayを見たい場合は排水負荷量、バッチ1回あたりの量と回数から見る場合はバッチ排水負荷量、2条件の差分や変化率を見たい場合は排水負荷量比較を使います。濃度だけでなく流量や対象期間も合わせてください。
このページで品質承認、投資、安全、法令、環境規制の判断を決められますか。
決められません。このページは次に見る計算ページを選ぶための一次整理です。最終判断には基準、測定方法、現場条件、専門家確認が必要です。
結果をライン間や期間間で比べる前に何をそろえますか。
単位、期間、データ定義、製品ミックス、測定方法、対象ライン、停止・故障・不良の定義をそろえてください。

使う前の注意点

  • このページは、次に開く計算ページを選ぶための案内です。計算結果そのものや最終判断を出すページではありません。
  • 品質承認、出荷可否、顧客承認、監査対応、工程リリース、合否判断には、別途基準と測定条件を確認してください。
  • 人員配置、生産コミット、設備投資、保全方針、ROI、日程判断には、現場制約、費用、リスク、実行可能性を別に確認してください。
  • 安全、職業ばく露、局所排気、保護具、火災爆発、法令判断には、最新基準と専門家確認を別に行ってください。
  • 排水基準、許認可、届出、報告、処理方式、環境判断は、このページや簡易計算だけでは決められません。

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