工場計算の選び方
工場実務計算ツールの品質、設備、安全環境ページから、手元データと確認したい目的に合う最初のページを選ぶためのガイドです。 規格値、停止時間、サイクルタイム、濃度、流量など、いま持っている情報から入口を決めると、違う前提の計算に入ってしまうリスクを下げられます。
このページは次に開く計算ページを選ぶ一次整理用です。品質承認、出荷可否、人員配置、設備投資、安全判断、法令適合、排水基準や許認可の判断は、別途基準・現場条件・専門家確認と合わせて行ってください。
まず手元データを見て選ぶ
最初に、数値の種類と単位を確認します。同じ「ppm」や「時間」でも、品質の不良ppm、濃度時間のTWA、設備停止時間では意味が違います。 下の表は、計算そのものではなく、どのページから確認を始めるかを決めるための入口です。
| 手元データ・症状 | 最初の問い | まず見るページ | 次の候補 |
|---|---|---|---|
| USL、LSL、平均値、標準偏差 | 標準偏差の種類に合う工程能力指標はどれか | 品質データの選び方 | Cp/Cpk、Ppk、片側工程能力 |
| 個別の測定値一覧 | 平均、標準偏差、階級ごとの度数を先に整理したいか | 測定データ要約、測定ヒストグラム | 品質データの選び方 |
| 検査数と不良数 | 1条件の観測不良率か、サブグループごとのp管理図限界か | 不良ppm | 不良率信頼区間、p管理図、品質計算の使い分け |
| 管理用の中心値と標準偏差 | 工程管理で見る幅を置きたいか | 管理図の選び方、管理限界、Xbar-R管理図 | 品質データの選び方 |
| 計画時間、停止時間、理想サイクル、生産数 | 停止・速度・品質ロスのどこが大きいか | OEE | 設備ロス分析 |
| 稼働可能時間と必要生産数 | 必要な生産ペースはどれくらいか | タクト/サイクル | 生産達成率 |
| 工程ごとのサイクルタイム | どの工程が静的な制約になるか | ライン能力・ボトルネック | 設備計算ガイド |
| 故障回数と修復時間 | 故障頻度と復旧時間を分けたいか | 保全指標の見方 | MTBF/MTTR |
| 段取り回数と切替時間 | 段取り短縮でどれだけ時間を戻せるか | 段取り替え・切替ロス | 設備ロス分析 |
| 複数のdB値 | 騒音レベルを単純加算せず合成したいか | 安全環境計算の使い分け | 騒音合成 |
| 基準騒音レベルと距離 | 距離が変わると騒音がどう変わるか | 騒音距離減衰 | 騒音/TWAガイド |
| ppm濃度と時間区間 | 濃度時間積と時間加重平均を見たいか | TWA | 騒音/TWAガイド |
| mg/h、m3/h、mg/m3 | 希釈換気の仮定で濃度を概算できるか | 希釈換気の仮定 | 希釈換気量 |
| pH、試料体積、当量濃度 | 中和計算の仮定を強酸・強塩基として扱えるか | 中和計算の仮定 | pH・酸アルカリ中和計算 |
| 排水濃度と流量 | kg/dayの負荷量で見るべきか | 排水負荷量の見方 | 排水負荷量、排水負荷量比較 |
| バッチ排水の量・濃度・回数 | kg/回、kg/day、排出中の平均流量を概算したい | バッチ排水負荷量 | 1回あたり排水量、排水濃度、バッチ回数、対象期間をそろえて入力する |
| 水量m3と生産数量 | 水使用量をL/個やm3/1000個で見たい | 水使用量原単位 | 濃度がある場合は任意で負荷量/個も確認する |
品質・設備・安全環境で迷う境界
OEEの品質ロスと品質計算
OEEの品質ロスが大きい場合、OEEはロスの割合を示しますが、工程能力や観測不良ppmまでは分かりません。 次に 不良ppm、不良率信頼区間、Cp/Cpk、または 品質データの選び方 に進み、品質側のデータ定義を分けます。
生産不足と品質歩留まり
必要数量に届かない場合は、まずタクト/サイクルとライン能力で必要ペースと静的ボトルネックを分けます。 総生産数は足りているのに良品数が不足する場合は、品質計算に進むほうが自然です。
停止時間と保全指標
停止時間が大きい場合、OEEと停止時間損失で時間・金額の影響を見ます。 故障が多いのか、復旧が長いのかを分けるときは、保全指標の見方とMTBF/MTTRを確認します。
化学物質濃度、換気、TWA
発生量と換気量がある場合は、希釈換気の仮定と希釈換気量を確認します。 測定濃度と時間区間がある場合は、TWAで濃度時間積を整理します。ばく露限界、局所排気設計、保護具、火災爆発リスクはこのページでは判断しません。
排水負荷と濃度だけの比較
排水は濃度だけでは負荷量が決まりません。濃度と流量がある場合は排水負荷量、バッチ排水の量・回数から見たい場合はバッチ排水負荷量、2条件を比べる場合は排水負荷量比較に進みます。 pHや中和量の前提が混ざる場合は、中和計算の仮定で強酸・強塩基、当量濃度、弱酸・緩衝、排水負荷を分けます。 排水基準、届出、報告、処理可否の判断は別に確認してください。
つながった確認例
USL 10.5、LSL 9.5、平均値10.1、短期標準偏差0.1がある場合は、品質データの選び方で標準偏差の前提を確認してからCp/Cpkを見ます。 この条件ではCpkは1.33、推定規格外は約31.67 ppmです。長期または全体標準偏差を使う場合はPpkが候補になります。
稼働可能時間450 min、必要生産数720個、工程サイクルがCutting 0.42、Welding 0.65、Inspection 0.50 min/個なら、タクト/サイクルで必要ペースを確認し、ライン能力でWelding工程が制約かを見ます。 この例では静的ライン能力は692.3 個/日で、必要数に対して約27.7 個不足します。
計画時間480 min、停止時間60 min、故障6回、修復時間18 hがある場合は、OEEで停止ロスを見てから、保全指標の見方、MTBF/MTTR、停止時間損失へ進みます。 MTBFは120 h、MTTRは3 hとなり、停止の頻度と復旧時間を分けて読めます。
発生量1,200 mg/h、換気量500 m3/h、バックグラウンド濃度0.5 mg/m3、目標濃度5 mg/m3がある場合は、希釈換気の仮定を確認してから希釈換気量に進みます。 定常・完全混合を仮定すると推定濃度は2.9 mg/m3、必要換気量は約266.7 m3/hです。
排水で現状120 mg/L・300 m3/day、代替条件80 mg/L・250 m3/dayを比べる場合は、排水負荷量の見方を確認してから排水負荷量比較に進みます。 現状は36 kg/day、代替条件は20 kg/dayで、日負荷差は-16 kg/dayです。
FAQ
- 品質、設備、安全環境のどこから始めるべきか分かりません。
- まず手元データの種類を見ます。規格や不良数なら品質、停止時間やサイクルタイムなら設備、dB・ppm濃度・換気量・排水濃度なら安全環境から始めると整理しやすくなります。
- USL/LSLと標準偏差があります。どのページを開きますか。
- 最初に品質データの選び方で、短期標準偏差か長期・全体標準偏差かを確認します。その後、Cp/Cpk、Ppk、片側工程能力のどれに進むかを決めます。
- 計画時間、停止時間、生産数があります。どのページを開きますか。
- 停止・速度・品質のロスをまとめて見たい場合はOEEから始めます。必要ペースや工程ごとの能力を見たい場合は、タクト/サイクルやライン能力を確認します。
- ppm濃度と時間があります。換気計算ですか、TWAですか。
- 濃度と時間区間がある場合はTWAが入口です。発生量mg/hと換気量m3/hから濃度を概算したい場合は希釈換気の仮定と希釈換気量を確認します。
- 排水濃度と流量があります。どのページを開きますか。
- 連続・平均条件のkg/dayを見たい場合は排水負荷量、バッチ1回あたりの量と回数から見る場合はバッチ排水負荷量、2条件の差分や変化率を見たい場合は排水負荷量比較を使います。濃度だけでなく流量や対象期間も合わせてください。
- このページで品質承認、投資、安全、法令、環境規制の判断を決められますか。
- 決められません。このページは次に見る計算ページを選ぶための一次整理です。最終判断には基準、測定方法、現場条件、専門家確認が必要です。
- 結果をライン間や期間間で比べる前に何をそろえますか。
- 単位、期間、データ定義、製品ミックス、測定方法、対象ライン、停止・故障・不良の定義をそろえてください。
使う前の注意点
- このページは、次に開く計算ページを選ぶための案内です。計算結果そのものや最終判断を出すページではありません。
- 品質承認、出荷可否、顧客承認、監査対応、工程リリース、合否判断には、別途基準と測定条件を確認してください。
- 人員配置、生産コミット、設備投資、保全方針、ROI、日程判断には、現場制約、費用、リスク、実行可能性を別に確認してください。
- 安全、職業ばく露、局所排気、保護具、火災爆発、法令判断には、最新基準と専門家確認を別に行ってください。
- 排水基準、許認可、届出、報告、処理方式、環境判断は、このページや簡易計算だけでは決められません。