排水負荷量の見方ガイド
排水負荷量を見るときは、排水濃度 mg/L と排水量 m3/day をセットで確認します。 濃度だけではkg/dayの負荷量は決まらず、流量や比較期間が変わると、見え方が大きく変わります。
このページは、排水濃度、排水量、kg/dayへの換算、2条件比較の読み方を整理するための支援記事です。 排水基準、許認可、届出、処理可否、報告値の妥当性を判定するものではありません。
まず何を確認するか
手元にある値が1条件なのか、2条件なのかで使うページが変わります。 まず濃度と流量がそろっているかを見てから、単一条件の負荷量を見るか、シナリオA/Bを比較するかを選びます。
| 手元にある値 | 知りたいこと | 最初に使うページ | 次に確認すること |
|---|---|---|---|
| 1つの濃度と1つの流量 | 日・月・年の負荷量 | 排水負荷量計算 | 単位が不明なら濃度換算を確認 |
| 水量と生産数量 | 水使用量原単位と任意の負荷量/個 | 水使用量原単位 | 同じ対象期間の水量と生産数量をそろえる |
| バッチ排水の量・回数 | kg/回、kg/day、排出中の平均流量 | バッチ排水負荷量 | 1回あたり排水量、濃度、回数、対象期間をそろえる |
| 2つの濃度・流量ペア | 条件A/Bの負荷差 | 排水負荷量比較 | 同じ物質・同じ期間で比較 |
| 濃度は下がったが流量も変わった | kg/dayとして増えたか減ったか | 排水負荷量比較 | 採水方法と平均期間を別途確認 |
| 濃度だけ | 負荷量の変化 | 流量が必要 | m3/dayにそろえてから計算 |
| 流量だけ | 物質量の変化 | 濃度が必要 | mg/Lにそろえてから計算 |
| pH・中和の前提 | pH、当量濃度、弱酸・緩衝の有無 | 中和計算の仮定ガイド | 排水負荷とは分けて扱う |
| 発生量と換気量 | 空気中濃度の概算 | 希釈換気量計算 | 排水負荷とは分けて扱う |
この表は計算ページを選ぶための整理です。現場で採用する代表値、測定条件、社内ルールは別に確認してください。
濃度、流量、負荷量の違い
濃度は、水の中にどれだけの物質が含まれているかを表す値です。排水量は、1日にどれだけの水が流れるかを表す値です。 負荷量は、濃度と流量を掛け合わせて、1日に流れる物質量として見た値です。
- 濃度: mg/L。水1 Lあたりの物質量。
- 流量: m3/day。1日に流れる排水量。
- 負荷量: kg/day。1日に流れる物質の質量。
基本式は 負荷量 kg/day = 濃度 mg/L × 流量 m3/day / 1000 です。 1 m3 = 1000 L、1 kg = 1,000,000 mg のため、mg/L と m3/day の組み合わせでは 1000 で割ると kg/day になります。 pHや中和計算の仮定は、中和計算の仮定ガイドで別に確認してください。
1条件を負荷量に直す流れ
1つの排水条件を見る場合は、物質名、濃度単位、流量単位、換算日数をそろえてから 排水負荷量計算を使います。
- 対象にする物質や測定項目を決める。
- 濃度を mg/L、流量を m3/day にそろえる。
- 日負荷量を計算する。
- 月・年の値は、入力した日数にもとづく単純換算として読む。
例えば、排水濃度 120 mg/L、排水量 300 m3/day の場合、日負荷量は 120 × 300 / 1000 = 36 kg/day です。 30日換算では 36 × 30 = 1,080 kg になります。
2条件を比較する流れ
改善前後や代替条件を比べる場合は、シナリオAとシナリオBの濃度、流量、比較日数を同じ意味でそろえてから 排水負荷量比較を使います。
- シナリオAとBを同じ物質・同じ濃度単位・同じ流量単位で並べる。
- それぞれの日負荷量を計算する。
- B-Aで、BがAより増えたか減ったかを読む。
- 削減率はシナリオAを基準にした算術比率として読む。
シナリオAが 120 mg/L・300 m3/day、シナリオBが 80 mg/L・250 m3/day の場合、 Aは36 kg/day、Bは20 kg/dayです。B-Aは -16 kg/day、30日では -480 kg です。 この結果は、入力値から見た負荷量差を示すものです。
濃度が下がっても負荷が増える例
排水濃度が下がっても、排水量が大きく増えるとkg/dayの負荷量は増えることがあります。 例えば、シナリオAが 100 mg/L・100 m3/day なら 10 kg/day です。 シナリオBが 80 mg/L・200 m3/day なら 16 kg/day です。
この場合、濃度は20 %低くなっていますが、流量が2倍になっているため、負荷量は 6 kg/day 増えています。 濃度だけを見ず、流量と比較期間を合わせて確認することが重要です。
濃度と流量が違っても負荷が同じ例
シナリオAが 100 mg/L・100 m3/day なら 10 kg/day です。 シナリオBが 50 mg/L・200 m3/day でも 10 kg/day です。 濃度は下がっていますが、流量が増えているため、計算上の負荷量は同じになります。
ただし、負荷量が同じでも、濃度、流量、測定条件、工程条件まで同じという意味ではありません。 必要な確認範囲は、社内ルールや目的に合わせて別に整理してください。
入力前チェック
- 対象にする物質や測定項目が同じか。
- 濃度単位が mg/L になっているか。
- 流量単位が m3/day になっているか。
- シナリオA/Bの平均期間や採水条件が比べられる形になっているか。
- 比較日数の意味が両シナリオで同じか。
- バッチ排水の場合、1回あたり排水量、排水濃度、回数、対象期間をそろえ、必要に応じてバッチ排水負荷量で概算する。
- 降雨、製品切替、工程変動、分析方法は別途確認できているか。
FAQ
- 濃度だけで負荷量を判断できますか。
- 判断できません。kg/dayの負荷量には濃度と流量の両方が必要です。
- 削減率がプラスなら十分な結果と読めますか。
- このページでは十分性を判断しません。削減率は、入力したA/B条件から計算した算術上の比率です。
- ppmはmg/Lとして入力できますか。
- 水溶液では近似的に扱われる場面がありますが、密度や定義で変わります。必要に応じて濃度の単位換算で確認してください。
- 月間や年間の値は公式な報告値ですか。
- いいえ。入力した日負荷量に日数を掛けた単純換算です。報告値として扱う場合の条件確認は、このページの範囲外です。