冷却水温度とチラーCOP・冷却塔ファン動力の比較計算
冷却水温度を下げると、チラーや冷凍機の入力電力は下がることがあります。一方で、冷却塔ファンを強く回すと補機動力が増えます。 このページでは、冷却水温度条件の変更による冷凍機入力電力差と、冷却塔ファン動力差を合わせて、システム全体で得か損かを概算します。
メーカー性能曲線や冷却塔性能を自動予測するページではありません。実測値、メーカー資料、または社内の経験値から「冷却水温度1℃あたりの冷凍機入力電力変化率」を仮定して比較する初期検討用です。
結果の読み方
正味電力差が正なら、冷凍機側の削減が冷却塔ファン動力の増加を上回る条件です。負なら、冷却水温度を下げてもシステム全体では電力量が増えます。 チラー単体のCOPが改善しても、冷却塔ファンや冷却水ポンプの増加分まで含めて確認することが重要です。
使用式
- 基準冷凍機入力電力 = 冷却負荷 ÷ 基準COP
- 冷却水温度低下量 = 改善前冷却水入口温度 - 改善後冷却水入口温度
- 改善後冷凍機入力電力 = 基準冷凍機入力電力 × (1 - 温度低下量 × 変化係数 ÷ 100)
- 回転数比からのファン動力 = 改善前ファン動力 × {固定動力割合 + (1 - 固定動力割合) × 回転数比3}
- 正味削減電力 = 改善前合計電力 - 改善後合計電力
- 年間電気代差 = 正味削減電力 × 年間運転時間 × 平均負荷率 × 電力単価
計算例
冷却負荷500 kW、基準COP 4.0、冷却水入口温度32℃から30℃、変化係数2%/℃、冷却塔ファン8 kWから12 kW、年間4000 h、平均負荷率80%、電力単価25円/kWhの場合、 冷凍機入力は125 kWから120 kWへ5 kW下がります。一方でファン動力は4 kW増えるため、システム全体では1 kW削減、年間では約3,200 kWh、約80,000円の削減目安になります。
入力値の注意点
- 冷却水温度1℃あたりの入力電力変化率は、機種、負荷率、冷媒、凝縮温度、制御方式で変わります。
- 冷却塔ファンの回転数を上げる場合は、モーター容量、騒音、ファンカーブ、外気湿球温度、充填材や散水状態も確認してください。
- 冷却水ポンプ動力、冷却水流量、ブロー水、薬注、水質管理、凍結、白煙、レジオネラ対策はこの概算には含めていません。
- 省エネ効果を保証するものではありません。投資判断では実測値、メーカー資料、運用制約を合わせて確認してください。
よくある質問
冷却水温度を下げれば必ず省エネになりますか?
必ずしも省エネになるとは限りません。冷凍機入力電力は下がっても、冷却塔ファンや冷却水ポンプの動力が増えると、システム全体では増エネになることがあります。
冷却水温度1℃あたり何%で見るべきですか?
一般値で固定するのは危険です。メーカー性能表、実測COP、過去の運転データから仮定するのが安全です。このページでは、ユーザーが仮定した係数で感度を見る形にしています。
冷却塔ファンの回転数比だけで正確に計算できますか?
厳密ではありません。ファンの相似則に基づく初期概算です。実際にはインバータ効率、制御方式、複数台運転、風量制御範囲、冷却塔性能が影響します。