フラッシュ蒸気量計算
高温ドレンや飽和水を高圧側から低圧側へ減圧したときに発生するフラッシュ蒸気の割合、発生蒸気量、残ドレン量を概算します。 蒸気トラップ出口、ドレン回収、フラッシュ蒸気利用、回収ライン背圧の一次確認に使えます。
このページで扱う範囲
フラッシュ蒸気は、高圧側で熱いドレンが低圧側へ移るとき、余分な顕熱の一部が蒸発潜熱として使われて発生する蒸気です。
このページでは x = (h_f1 - h_f2) / h_fg2 を使い、発生蒸気量と残ドレン量を概算します。
フラッシュベッセル、蒸気トラップ、ドレン配管、逃し装置、圧力容器の設計は扱いません。 実設備では正式な蒸気表、メーカー資料、圧力基準、背圧、配管放熱、安全基準を確認してください。
計算結果
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結果の読み方
- フラッシュ蒸気割合は、ドレン流量のうち低圧側で蒸気になる質量割合です。
- 質量割合が小さくても、蒸気の比体積は大きいため、配管やベントでは体積流量が大きく見えることがあります。
- フラッシュ蒸気を適切に回収できる場合、低圧蒸気として利用できることがあります。
- 白い湯気が見えても、必ずしもライブスチーム漏れとは限りません。フラッシュ蒸気、背圧、放熱、トラップ状態を分けて確認してください。
使用式
x = (h_f1 - h_f2) / h_fg2
m_flash = m_condensate × x
m_condensate,out = m_condensate × (1 - x)
- x: フラッシュ蒸気の質量割合 [-]
- h_f1: 高圧側の飽和液エンタルピー、または減圧前ドレンの概算エンタルピー [kJ/kg]
- h_f2: 低圧側の飽和液エンタルピー [kJ/kg]
- h_fg2: 低圧側の蒸発潜熱 [kJ/kg]
計算例
10 barGの飽和ドレンを大気圧まで減圧し、h_f1 = 781 kJ/kg、
h_f2 = 418 kJ/kg、h_fg2 = 2258 kJ/kg とすると、
フラッシュ蒸気割合は (781 - 418) / 2258 = 0.1608、約16.1%です。
ドレン流量が200 kg/hなら、発生するフラッシュ蒸気は約32.2 kg/h、残ドレン量は約167.8 kg/hです。
よくある間違い
- ゲージ圧を絶対圧として蒸気表へ入れると、飽和温度やエンタルピーを誤ります。
- ドレンがすべて蒸気になるわけではありません。通常は一部だけがフラッシュ蒸気になります。
- サブクールされたドレンを飽和ドレンとして扱うと、フラッシュ蒸気量を過大に見積もることがあります。
- 低圧側の背圧が上がると、フラッシュ割合、配管内の二相流、トラップ差圧が変わります。
- フラッシュ蒸気割合だけでトラップや回収配管を選定せず、差圧、容量表、二相流、メーカー資料を確認してください。
FAQ
フラッシュ蒸気とライブスチーム漏れは同じですか?
同じではありません。フラッシュ蒸気は高温ドレンが減圧されたときに一部蒸発する蒸気です。ライブスチーム漏れは蒸気そのものが漏れる状態で、原因と対策が異なります。
圧力はゲージ圧と絶対圧のどちらで入力しますか?
選択した圧力基準に合わせて入力してください。現場計器はゲージ圧が多く、蒸気表は絶対圧基準が多いため、取り違えないことが重要です。
低圧側が大気開放の場合はどう入力しますか?
ゲージ圧を選び、低圧側圧力を0 barGまたは0 kPaGとして入力します。大気圧欄は通常101.325 kPa absを使います。
サブクールされたドレンでもフラッシュ蒸気は出ますか?
低圧側の飽和水より十分に高い熱を持っていなければ、フラッシュ蒸気は発生しない概算になります。サブクール温度モードで一次確認できます。
この結果でフラッシュベッセルを設計できますか?
できません。このページは発生量の概算です。フラッシュベッセル、ベント、ドレン配管、トラップ、逃し装置は、正式な蒸気表、メーカー資料、設備基準で確認してください。