蒸気配管圧力損失計算
蒸気質量流量、比体積または密度、粘度、配管内径、配管長さ、粗さから、蒸気配管の直管圧力損失と圧力勾配を概算します。 蒸気配管流速計算や飽和蒸気物性計算で確認した条件を使い、末端圧力不足や配管サイズの一次確認に利用できます。
このページで扱う範囲
この計算は、代表比体積または代表密度を一定として扱う簡易的な直管圧力損失の概算です。 実際の蒸気配管では、圧力低下に伴う物性変化、継手・弁・ストレーナ損失、ドレン滞留、水撃、保温、制御弁前圧も確認してください。 最終的な配管設計や安全性を保証するものではありません。
計算結果
-
結果の読み方
- 圧力損失計算では、指定した直管長さに対する圧力低下の概算値を求めます。
- 許容長さ計算では、許容圧力損失から直管部分として許容できる長さの目安を求めます。
- 結果は直管部のみの概算です。弁、継手、ストレーナ、分岐、減圧弁、装置入口などの局所損失は別途見込んでください。
- 圧力損失が基準圧力に対して大きい場合、蒸気物性が変わるため、区間分割や詳細計算で確認してください。
使用式
Q = m_dot × v_g
A = πD² / 4
u = Q / A
Re = ρuD / μ
ΔP/L = f × ρu² / (2D)
ΔP = (ΔP/L) × L
L_allow = ΔP_allow / (ΔP/L)
m_dot: 蒸気質量流量 [kg/s]v_g: 蒸気比体積 [m³/kg]Q: 蒸気の実体積流量 [m³/s]D: 配管内径 [m]u: 蒸気流速 [m/s]ρ: 蒸気密度 [kg/m³]μ: 蒸気粘度 [Pa·s]f: Darcy摩擦係数 [-]
入力値の注意点
- 配管内径は呼び径や外径ではなく、実際の内径を入力してください。
- 比体積や密度は圧力・温度で大きく変わります。対象区間の代表条件に近い値を使ってください。
- 粘度は動粘度ではなく、粘度(Pa·s、mPa·s、cP)を入力します。
- 自動計算のDarcy摩擦係数は、層流では
64/Re、乱流ではHaaland式による概算です。 - 湿り蒸気、過熱蒸気、圧力低下が大きい長距離配管では、詳細な条件整理が必要です。
計算例
蒸気流量 1000 kg/h、比体積 0.24 m³/kg、粘度 0.013 mPa·s、配管内径 50 mm、 長さ 100 m、管内面粗さ 0.045 mm の場合、圧力勾配は約 946 Pa/m、直管圧力損失は約 94.6 kPa です。
同じ条件で許容圧力損失を 50 kPa とすると、直管部分の許容長さは約 52.8 m です。 実設備ではここに継手や弁の損失、装置側の必要圧力、制御弁前圧の余裕を加えて確認します。
よくある間違い
- 蒸気の比体積を確認せず、水や空気の密度に近い値で計算してしまう。
- 呼び径や外径を配管内径として入力する。
- 圧力損失だけを見て、ドレン排出、水撃、騒音、保温、制御弁前圧を確認しない。
- ゲージ圧と絶対圧を混同し、蒸気物性や基準圧力の条件を取り違える。
FAQ
このページだけで蒸気配管サイズを決められますか?
いいえ。直管圧力損失の初期確認には使えますが、最終的には配管規格、継手・弁損失、ドレン排出、水撃、騒音、保温、制御弁前圧、プラント基準を合わせて確認します。
Haaland式で求めた摩擦係数は設計値として使えますか?
初期検討用の概算値として扱ってください。管内面の状態、スケール、湿り蒸気、局所損失、圧力低下に伴う物性変化までは含みません。
蒸気比体積と密度はどちらを入力すればよいですか?
どちらでも計算できます。飽和蒸気表などで比体積が分かる場合は比体積を、密度が分かる場合は密度を入力してください。比体積は密度の逆数です。
弁や継手の圧力損失は含まれますか?
含まれません。このページは直管部の概算です。弁、継手、ストレーナ、分岐、装置入口、減圧弁などの損失は別途確認してください。