真空ポンプ排気時間計算
容器容量、初期圧力、目標圧力、有効排気速度から、真空ポンプで目標圧力まで排気する時間を概算します。 漏れや放出ガス負荷を入力すると、到達可能な平衡圧力を考慮した簡易補正も確認できます。
このページで扱う範囲
粗引きから中真空程度で、有効排気速度を一定とみなせる条件の一次近似です。 高真空域、分子流コンダクタンス、ポンプ速度曲線、油拡散、蒸気圧、放出ガスの時間変化までは扱いません。
実設備では、配管コンダクタンス、リーク、シール材や内面からの放出ガス、バルブ、トラップ、ポンプ実効速度を確認してください。
結果の読み方
- 排気時間は、容器容量を有効排気速度で割り、圧力比の自然対数を掛けた概算値です。
- 漏れ・放出ガス負荷を入力した場合、平衡圧力
Q/Sを考慮します。目標圧力が平衡圧力に近いほど時間は急に長くなります。 - カタログのポンプ排気速度ではなく、配管やバルブを含めて容器側で見込める有効排気速度を使うと現実に近づきます。
- 到達圧力、排気速度曲線、油や水分、内面放出ガスの影響が大きい条件では、実測やメーカー資料を優先してください。
使用式
漏れ・放出ガス負荷を無視する場合:
t = V / S × ln(P0 / Pt)
一定の漏れ・放出ガス負荷を考慮する場合:
P_eq = Q / S
t = V / S × ln((P0 - P_eq) / (Pt - P_eq))
V: 容器容量 [m³]S: 有効排気速度 [m³/s]P0: 初期圧力 [Pa abs]Pt: 目標圧力 [Pa abs]Q: 漏れ・放出ガス負荷 [Pa·m³/s]P_eq: 平衡圧力 [Pa]
計算例
容器容量1 m³、有効排気速度100 m³/h、初期圧力101.325 kPa abs、目標圧力1 kPa absの場合、 排気時間は約166 s(約2.77 min)です。
同じ条件で漏れ・放出ガス負荷が1 Pa·m³/sある場合、平衡圧力は36 Paとなり、 目標圧力100 Pa absまでの排気時間は約265 sになります。
入力値の注意点
- 圧力はすべて絶対圧で入力します。ゲージ圧ではありません。
- 目標圧力は1 Pa以上の概算範囲としています。高真空域では分子流、放出ガス、ポンプ速度曲線の影響が大きくなります。
- 有効排気速度は、ポンプ単体ではなく容器入口側で見込める速度です。細い配管や長い配管では小さくなります。
- 漏れ・放出ガス負荷が分からない場合は0で概算できますが、実機では到達圧力や排気時間が楽観的になることがあります。
よくある間違い
- ゲージ圧と絶対圧を混同する。
- ポンプのカタログ排気速度をそのまま有効排気速度として使う。
- 漏れや放出ガス負荷を無視し、到達できない圧力まで計算してしまう。
- Torr、mbar、Paの単位換算を取り違える。
- 高真空域にも同じ一次式をそのまま適用する。
FAQ
真空ポンプの排気時間はこの式だけで決まりますか?
概算では容器容量、有効排気速度、圧力比で整理できます。ただし実機では配管コンダクタンス、リーク、放出ガス、ポンプ速度曲線が効くため、最終判断には実測やメーカー資料が必要です。
有効排気速度とは何ですか?
容器入口で実際に効く排気速度です。ポンプ単体のカタログ値より、配管、バルブ、フィルタ、トラップなどの抵抗で小さくなることがあります。
漏れ・放出ガス負荷を入れると何が分かりますか?
一定のガス負荷がある場合の平衡圧力 Q/S を確認できます。目標圧力がこの平衡圧力以下の場合、その条件では到達できません。
高真空の到達時間にも使えますか?
高真空域では放出ガス、分子流コンダクタンス、ポンプ速度曲線の影響が大きいため、本ページの結果は目安にとどめてください。