気体の密度は状態方程式から求めることができます。
状態方程式は、高校で学ぶ理想気体の状態方程式がよく知られていますが、実在気体の状態方程式というものもあり、様々なものが提案されています。
理想気体の状態方程式
理想気体の状態方程式は次の式で表されます。
\(P=\rho RT\)
ここで、\(P, \rho , R, T\)はそれぞれ圧力、密度、気体定数、温度です。
この式を変形すると、次式のようになり、密度を求めることができます。
\(\rho =\Large \frac{P}{RT}\)
van der Waals方程式
van der Waalsの状態方程式は次の式で表されます。
\(P=\Large \frac{RT}{V_{m}-b}-\frac{a}{V^2_{m}}\)
ここで、\(P, R, T, V_{m}\)はそれぞれ圧力、気体定数、温度、モル体積です。
モル体積\(V_{m}\)と密度\(\rho\)の関係は次式で表されるので、数値解法等を用いることで、密度\(\rho\)を求めることができます。
\(\rho=\Large \frac{1}{V_{m}}\)
なお、\(a\)及び\(b\)はファンデルワールス定数と呼ばれ、物質固有の値となるため、文献等から引用する必要があります。
Soave-Redlich-Kwong方程式(SRK式)
Soave-Redlich-Kwongの状態方程式は次の式で表されます。
\(P=\Large \frac{RT}{V_{m}-b}-\frac{a\alpha }{V_{m}(V_{m}+b)}\)
ここでは、\(P, R, T, V_{m}\)それぞれ圧力、気体定数、温度、モル体積です。
\(a, b, \alpha \)は次式で表されます。
\(a=0.42747\Large \frac{R^2T^2_c}{P_c}\)
\(b= 0.08664\Large \frac{RT_c}{P_c}\)
\(\alpha= [1+m(1-T^{0.5}_r)]^2\)
ここで、\(P_c, T_c\)はそれぞれ臨界圧力、臨界温度です。\(m, T_r\)は偏心係数\(\omega\)や臨界温度\(T_c\)を用いて、次式で表されます。
\(m=0.48+1.574\omega-0.176\omega ^2\)
\(T_r=\Large \frac{T}{T_c}\)
本状態方程式も、次式の関係を利用することで、密度\(\rho\)を求めることができます。
\(\rho=\Large \frac{1}{V_{m}}\)
Peng Robinsonの状態方程式(PR式)
Peng Robinsonの状態方程式は次の式で表されます。
\(P=\Large \frac{RT}{V_{m}-b}-\frac{a\alpha }{V_{m}(V_{m}+b)+b(V_{m}-b)}\)
ここでは、\(P, R, T, V_{m}\)それぞれ圧力、気体定数、温度、モル体積です。
\(a, b, \alpha \)は次式で表されます。
\(a=0.45724\Large \frac{R^2T^2_c}{P_c}\)
\(b= 0.07780\Large \frac{RT_c}{P_c}\)
\(\alpha= [1+m(1-T^{0.5}_r)]^2\)
ここで、\(P_c, T_c\)はそれぞれ臨界圧力、臨界温度です。\(m\)や換算温度\(T_r\)は偏心係数\(\omega\)や臨界温度\(T_c\)を用いて、次式で表されます。
\(m=0.37464+1.54226\omega-0.26992\omega ^2\)
\(T_r=\Large \frac{T}{T_c}\)
本状態方程式も、次式の関係を利用することで、密度\(\rho\)を求めることができます。
\(\rho=\Large \frac{1}{V_{m}}\)
一般化Benedict-Webb-Rubin方程式(BWR式)
一般化Benedict-Webb-Rubin状態方程式は次の式で表されます。
\(P_r=T_r\rho+(B’_0T_r-A’_0-{\Large \frac{C’_0}{T_r^2}})\rho^2+(b’T_r-a’)\rho^3+(a’\alpha’ )\rho^6+{\Large \frac{c’}{T_r^2}}(1+\gamma’\rho ^2)\rho^3exp(-\gamma’\rho ^2)\)
ここで、\(P_r, T_r, \rho\)はそれぞれ換算圧力、換算温度、密度です。換算圧力\(P_r\)及び換算温度\(T_r\)は臨界圧力\(P_c\)及び臨界温度\(T_c\)を用いて、それぞれ次式で表されます。
\(P_r={\Large \frac{P}{P_c}}\)
\(T_r={\Large \frac{T}{T_c}}\)
また、\(A’_0, B’_0, C’_0, a’, b’, c’, \alpha’, \gamma’\)はEdmisterにより次式が提案されています。
\(A_0’=0.343258-0.127521\omega-0.509131\omega^2\)
\(B_0’=0.113747+0.127349\omega-0.243280\omega^2\)
\(C_0’=0.098224+0.401236\omega-0.0397267\omega^2\)
\(a’=0.0235866+0.290284\omega-0.295413\omega^2\)
\(b’=0.0275404+0.131009\omega-0.134924\omega^2\)
\(c’=0.035694+0.185297\omega-0.230125\omega^2\)
\(\alpha’a’=0.0000875\)
\(\gamma’=0.052058-0.09064\omega+0.10506\omega^2\)
ここで、\(\omega\)は偏心因子です。
これらの式を用いるとともに、数値解法などを利用することで、圧力\(P\)及び温度\(T\)から密度\(\rho\)を算出することができます。
mBWR型状態方程式
一般化Benedict-Webb-Rubin状態方程式を改良したものの一つに15定数の一般化Modified BWR状態方程式があり、Nishiumiらは次式を提案しています。
\(P=RT\rho+(B_0RT-A_0-{\Large \frac{C_0}{T^2}+\frac{D_0}{T^3}-\frac{E_0}{T^4}})\rho^2\)
\(+(bRT-a-{\Large \frac{d}{T}-\frac{e}{T^4}-\frac{f}{T^{23}}})\rho^3\)
\(+\alpha(a+{\Large \frac{d}{T}+\frac{e}{T^4}+\frac{f}{T^{23}}})\rho^6\)
\(+({\Large \frac{c}{T^2}+\frac{g}{T^8}+\frac{h}{T^{17}}})\rho^3(1+\gamma\rho ^2)exp(-\gamma\rho ^2)\)
ここで、\(P, R, T, \rho\)はそれぞれ圧力、気体定数、温度、密度です。
また、\(A’_0, B’_0, C’_0, a’, b’, c’, \alpha’, \gamma’\)はEdmisterにより次式が提案されています。
\(A_0=(1.28438-0.920731\omega+0.095\omega^3)RT_cV_c\)
\(B_0=(0.443690+0.115449\omega)V_c\)
\(C_0=(0.356306+1.70871\omega)RT_c^3V_c\)
\(D_0=(0.0307452+0.179433\omega)RT_c^4V_c\)
\(E_0=\{0.006450-0.022143\omega\times exp(-3.8\omega)\}RT_c^5V_c\)
\(a=(0.484011+0.754130\omega)RT_cV_c^2\)
\(b=(0.528629+0.349261\omega)V_c^2\)
\(c=(0.504087+1.32245\omega)RT_c^3V_c^2\)
\(d=(0.0732828+0.463492\omega)RT_c^2V_c^2\)
\(e=\{4.65593\times10^{-3}-3.07393\times10^{-2}\omega+5.58125\times10^{-2}\omega^2\)
\(-3.40721\times10^{-3}\times exp(-7.72753\omega-45.3152\omega^2)\}RT_c^5V_c^2\)
\(f=\{6.97\times10^{-14}+8.08\times10^{-13}\omega+1.60\times10^{-12}\omega^2\)
\(-3.63078\times10^{-14}\times exp(30.9009\omega-283.680\omega^2)\}RT_c^{24}V_c^2\)
\(g=\{2.20\times10^{-5}-1.065\times10^{-4}\omega-1.09\times10^{-5}\times exp(-26.024\omega)\}RT_c^9V_c^2\)
\(h=\{-2.40\times10^{-11}+11.8\times10^{-11}\omega-2.05\times10^{-11}\times exp(-21.52\omega)\}RT_c^{18}V_c^2\)
\(\alpha=(0.0705233-0.044448\omega)V_c^3\)
\(\gamma=(0.544979-0.270896\omega)V_c^2\)
ここで、\(T_c, V_c, \omega\)はそれぞれ臨界温度、臨界体積、偏心因子です。
本式に関しても、これらの式を用いるとともに、数値解法などを利用することで、圧力\(P\)及び温度\(T\)から密度\(\rho\)を算出することができます。